音による食感の錯覚①

執筆者:藤崎和香
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パフェに入っているコーンフレークのサクサク感、サンドウィッチに入っているレタスのシャキシャキ感など、私たちは何かを食べるとき、味だけではなく食感も楽しんでいますよね。

実は、この「食感」には触覚だけでなく、聴覚も重要な役割を果たしています。

音でポテトチップスの食感が変わる

Zampini & Spence (2004)は、実験参加者が自分でポテトチップスを食べている「パリッ」という咀嚼音をマイクで拾って、そのマイクで拾った音について、高周波数成分を増強したり全体の音を大きくしたりといった加工を行って、ポテトチップスを食べている実験参加者自身にヘッドフォンからリアルタイムにフィードバックして、その音を聴きながらポテトチップスを食べてもらうという実験を行いました。

すると、ポテトチップス自体は全く変わっていないにもかかわらず、ポテトチップスの食感がよりパリパリに、新鮮に感じられるという錯覚が生じることがわかりました。つまり、食べ物自体は全く変わっていないにもかかわらず、音が食べ物の食感を変化させたのです。この研究は、2008年にイグノーベル賞を受賞しています(Ig Nobel Prize for nutrition)。

音で介護食の食感を変えるには?

このような音による食感の錯覚を、食感に乏しい、介護食についても生じさせることができるようになれば、食べ物の物性自体はそのままであっても、音の変化によって食の楽しみを得られるようになり、QOLの向上に貢献できるのではないかと考えられます。しかし介護食を噛んでも明瞭な音がしないため、Zampini & Spence (2004)で用いられたような、その人の咀嚼音そのものをマイクで拾って加工する、という方法は使えません。では、音による錯覚で介護食の食感を変えるにはどうすればよいのでしょうか?(②に続く