石井ゼミ・中級演習の紹介(石井ゼミ)
石井ゼミ(社会心理学)では、心理学実験や調査、あるいはコンピュータ・シミュレーションや認知モデリングなどの手法を用いて、人々の社会行動に関わる研究を行っています。
例えば石井ゼミのある大学院生は、コストを払って他者のためになることをする利他行動が自分の評判を維持するための方略であるという理論を検証するための研究を実施しています。また本年度(2024年度)の卒業論文では、多くの人が賛成している意見には最終的にそれよりも多くの人が賛成するようになるという多数派同調バイアスや、他者が視線を向けるものが好まれやすくなるという視線手がかり効果などについて研究が行われました。
3年生の中級演習でも同様にして、心理学論文を読み(前期)、社会心理学に関わる実験・調査を行う(後期)という一連の研究活動を行います。
この冬に3年ゼミ生が行った研究では、独裁者ゲーム(dictator game)という資源分配の課題を用いました。この課題では、研究の参加者に資源(例えば1000円)を渡して、これを参加者自身に残す分と別の参加者に渡す分とに分けてほしいと頼みます。皆さんも、自分だったらどう分けるかと考えてみてください。なかなか難しい判断ですね。その難しさを反映してか、相手と半分ずつに分ける公平分配を選び人が多くの割合でいます。ただ自分に多めに残す人もいれば、相手に多く渡す人もいて、結果には個人差があります。そしてこの課題は、見知らぬ他者と自分ではどちらを優先するかという「公平さ」や「利己性」の指標としてよく使われています。3年ゼミ生は、こうした公平さ・利己性がどういった条件下で促進・抑制されるのかについて研究を行いました(どんな条件下で促進・抑制されるのかについては、実験の目的上ここではお話できないのですが、興味があれば石井まで尋ねてみてください)。
現在3年生は、この研究の結果を整理・分析して、その内容を論文の形でまとめているところです。こうした3年ゼミでの経験を活かして卒業研究も頑張ってもらいたいと思います。