コーピングのすすめ

執筆者:小川洋子( 教員ページへ
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私たちが生きていくにあたって、ストレスを避けることは難しいですね。テストの成績、友人関係、恋人関係、家族の問題・・・私たちは心理的負荷がかかることについて、日常的に「ストレス」という言葉を使っています。

 心理学の世界では、ストレスというものを「ストレッサー」と「ストレス反応」の2つにわけて捉えます(伊藤,2021)。「ストレッサー」とは、あなたを苦しめるさまざまな「ストレス環境」のことです。気の合わない友人との時間、やりたくない残業など、さまざま考えられますね。そして、「ストレス反応」とは、ストレッサーに対するあなたの「心と体の反応」のことです。「イライラする」「不安になる」「落ち込む」「胃が痛くなる」などの反応を指します。

ストレッサーに対するストレス反応は人それぞれです。同じ環境でもそのことをストレッサーと感じる人もいれば感じない人もいるでしょう。「ストレス」は人によって異なるものなのです。そのため、どういったことに自分がストレスを受けやすいか、ストレスを受けた時にどうやってケアをするとよいかを考えることはとても大切なことだと言えるでしょう。

自分自身で自分のことをケアすることを「セルフケア」といいます。セルフケアの1つに「コーピング」という方法があります。コーピングとは、ストレスに対処することを言います。今回は、次の3ステップで行うコーピングをご紹介します。

ステップ1:ストレスに気づく

まず、何が自分のストレスになっているのかを考えてみましょう。整理しようとせずに、思い浮かんだことをノートに書き出してみましょう。

ステップ2:自分を認める

ストレスを抱えている自分を責めないことが大切です。自分を否定せず、しんどい状態である自分を認めてあげてください。

ステップ3:自分が心地よいと感じる行動をリストアップして実践する

自分が心地よいと感じる行動のリスト「コーピングリスト」を作ってみましょう。どんな些細なことでも構いません。自分の気持ちがアップするようなことを書き出しましょう。例えば、「いい香りのお茶を飲む」「好きだった漫画を読み返す」「〇〇店のチーズケーキを食べる」「お風呂で声を出して歌う」「ひたすら寝る」など何でもいいのです。質より量が大切です。できるだけたくさん書き出してみましょう。

コーピングリストができたら、ストレスを感じたときにその中の内容を実践してみましょう。実践するうちに、このストレッサーにはこのコーピングが効くといったことがわかってくるかと思います。 

伊藤絵美(2021),コーピングのやさしい教科書,金剛出版.

伊藤絵美(2020),セルフケアの道具箱,晶文社.