心理学研究法 ある日の授業紹介(基礎心理学) アルチンボルドに挑戦2024

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心理学研究法(1年生必修)の第二回授業では、今年も「アルチンボルドに挑戦」と題したグループワークを行いました。

Giuseppe Arcimboldo, Public domain, via Wikimedia Commons https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Giuseppe_Arcimboldo_-_Rudolf_II_of_Habsburg_as_Vertumnus_-_Google_Art_Project.jpg

こちらはジュゼッペ・アルチンボルド(Giuseppe Arcimboldo)の「ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世 1590-91年」です。野菜や果物の盛り合わせとして見てもよいはずなのに、私たちはどうしてもこの絵を「顔」として見てしまいます。このように本来無意味な対象物を何らかの意味のある対象として捉えることをパレイドリア(中でも特に「顔」として捉えること顔パレイドリア)と呼びます。

「アルチンボルドに挑戦」のグループワークでは、顔に見える果物の盛り合わせを皆で作って、この顔パレイドリア現象を楽しみながら体験しました。5分という制限時間の中で、皆でアイディアを出し協力し合って、今年もたくさんの傑作(?!)が誕生しました。各グループのこだわりポイントとともにご紹介します。

受講生のみなさんの作品です

Aグループ:スターフルーツを縦にして星型の目にして、葉っぱと葡萄で髪の毛を表しています。鼻ひげもつけて、ほっぺのつや感はミニリンゴで表現。顔だけでなく洋服部分も作り、箱を斜めに使うアイディアで動きを出しています。

    

Bグループ:ピンクの桃で血色の良いほっぺを、葉っぱで髪の毛を、小さい果物で輪郭を表現しています。ライムを目にして、バナナで笑顔の口を作っています。  

   

Cグループ:ライムの輪切りで熊の耳を作っています。髪の毛を葡萄で、ほっぺをオレンジで表現しています。軸をうまく利用したリンゴの大きな目も特徴的です。

     

Dグループ:髪の毛を葉っぱで再現。バナナで口を作り笑っているように見せています。顔として使わなかった果物を箱の周りに配置して芸術的な作品に。

   

Eグループ:カーネーションの上に葉っぱを重ねて立体感のある鼻を作成。色味を合わせた葉っぱやライムで髪の毛を表現。顔の部分ごとに色を変える工夫をしています。

   

Fグループ:フルーツを立体的に重ねて出目を表現。毛量を多くしたのもポイントです。マンゴーのほっぺの上のライムはパックです!

     

   

Gグループ:前髪を葡萄で表現、大きな葉で長いひげを作っています。赤いフルーツで背景を埋めたことで緑の髪の毛との差をつけて、顔が目立つようにし、作品をはっきりした印象にしています。

     

Hグループ:マンゴーで作った大きな唇がポイント。桃で目も大きくしてはっきりした顔立ちに。一方で鼻はイチゴで小さくしてコントラストをつけています。

      

Iグループ:リンゴとオレンジで目を立体的にして、葉っぱで眉毛をつけています。ライムの二枚重ねで頬を、葡萄で髪の毛を、バナナの向きで口角を表現しています。鼻に使ったスターフルーツを他のところで使用しないことで、鼻を強調させました!

    

Jグループ:用意されていた素材(フルーツの玩具など)をすべて使って、楽しさを体現。素材を立体的に重ねて出目を表現。ほっぺは桃です!

      

Kグループ:鼻を花(カーネーション)で表現!ほっぺをピンク色にして可愛く、血色感を演出。目もオレンジを使って大きくして可愛くしています。枠外にもフルーツを置いて、ボリュームのある髪を表現しています。

       

Lグループ:白い小さい果物をたくさん並べてバナナと葡萄で挟んで、歯を表現。竹の中に赤い果物を入れてライムで蓋をすることで、透けて見えるほほの血色を表現しています。小さなオレンジや黄色の果物を使って肌を表しています。

      

受講生のみなさんの感想(抜粋)です

  • ただの果物が組み合わせていくことによって顔に見えていくのが興味深かったです。目と口を決めると顔に見えてきてそこからグループのメンバーと楽しく話しながら要素を足していき制作しました。
       
  • 果物がいったん顔に見えたらもう顔にしか見えなくなって不思議な感じがしました。
       
  • 作り上げてすぐはあまり人の顔には見えなかったのですが、カメラ越しに真上から見ることで人の顔のように見えるようになって驚きました。
       
  • 1人で行うのではなく複数人で行うことで、周りの友達の新しい視点やものの見方を知ることが出来ました。アイディアは人の数だけあって、みんなで話し合えば話し合うほど可能性が広がっていくと感じました。
       
  • グループによって全然違う顔ができ、同じ顔はひとつもないんだろうなと思うと、他のグループの作品を見るのが楽しみだと思いました。ただの果物なのに、並べてみるとしっかり顔に見えるし、並べ方によって表情も変わって面白いと思いました。
       
  • 人間にとって顔らしいというのはどういうものなのか、どのパーツが認識する時に重要なのか気になりました。 私の予想は重要度順に目→口→鼻です。 なぜなら時々ほぼ目だけのキャラクターがいるからです。
       
  • ゴミ箱やコンセントが顔の形に見えた経験を思い出し、それらも同じようにパレイドリアといわれていることを知りました。普段何気なく思っていたことにも脳の機能がはたらいているということを学び、興味深く感じました。
       
  • 家の壁のシミも目や口、鼻などの人間の大まかなパーツに似ていると人間の顔が見えてくることがあるので、人間の情報処理は面白いと思いました。
       
  • グループ仲間とワイワイ楽しく、でも悩みながら作った作品なので最終的には作品に対して愛着が湧いていました。とても楽しいワークでした。