📚論文紹介:日本の子どもはどのくらい「神さま」を信じているの?―親子データから見えてきた、ちょっと意外な事実 ―

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「日本は無宗教の国」とよく言われますが、確かに日本では、「私はこの宗教を信じています」とはっきり言う人は少ないかもしれません。でも私たちは初詣に行ったり、お守りを持ったり、亡くなった人を思ったりします。こうした行いや気持ちは、日本の文化の中にさまざまな形で見られます。

では、日本の子どもたちはどうでしょうか?子どもも大人のように「神さま」や「見えない存在」を信じるのでしょうか?信じるとしたら、その心はどこからやってくるのでしょうか?

今回の石井先生が発表した研究(🔗 https://psycnet.apa.org/fulltext/2026-51839-001.html)では、日本の子どもたち(6〜12歳)を対象に、そんな疑問にアプローチしました。


① 思ったより高かった

この研究では子どもたちに、例えばこんな質問をしました。

・海や山にはそれぞれ神さまがいると思う
・神さまや仏さまに失礼なことをすると罰があたると思う

これらに5点満点で答えてもらったところ、平均は3.66点でした。もし信じていないなら1点(全くそう思わない)や2点(そう思わない)といった結果になるところですが、それらを上回る結果でした。

つまり、日本の子どもたちは、全体としては
“神さまをやや信じる”傾向にあったのです。


② 親と子を同時に調べてみると…

この研究の面白いところは、子どもだけでなく、親にも同じように質問したことです。これによって、「親が信じていると、子どもも信じやすいのか?」という疑問に、データからヒントを得ることができます。

結果として、親が宗教的であるほど、子どもも宗教的であるという傾向が認められました(統計学の言葉を使うと「正の相関関係にあった」のです)。

このことは、神さまを信じる気持ちが親から子へ伝わっている可能性を示しています。心理学や文化進化の研究では、このような親から子への伝達を「垂直伝達」と呼びます。今回の結果は、宗教的信念の垂直伝達を示唆しているわけです。

宗教的な考え方は社会全体から突然生まれるだけでなく、家庭の中で静かに受け継がれているのかもしれません。


③ この研究が教えてくれること

心理学では、“目に見えない心のしくみ”をデータを通して少しずつ明らかにしていくことができます。

例えばこの研究では、親子に調査を行い、そのデータを統計的に分析するという方法を通して、「無宗教」と言われる社会でも子どもたちはある程度神さまを信じていること、そしてその信念は家庭や社会の中で受け継がれているかもしれないことを示しました。


🌱 心理学に興味をもった方へ

人の心の不思議に興味がある、「当たり前」をデータで確かめてみたい、あるいは日本社会を心理学の視点から考えてみたいと思った方は、ぜひ心理学を学んでみてください。きっと面白い分野になるはずです。