社会・集団・家族心理学Ⅱの授業風景
こんにちは。今回は、社会・集団・家族心理学Ⅱの授業についてご紹介します。人間にとって、人生の最初に出会う集団が家族です。この授業では、家族を心理学的の視点から理解し、健康に生きるための方法や、困難を抱えたときの支援法などについて学ぶ講義形式の授業です。この授業は、公認心理師養成カリキュラムの科目の一つですが、家族に関心のある学生が多いということなのか、毎年、心理職を目指す学生以外にも、他学科の学生が多く受講しています。
授業の最初には、まず前回の授業のリアクションペーパーの内容について、質問に答えたり、私が感じたことをフィードバックし、振り返ることから始めます。
さて、今日とりあげるのは、家族の歴史という視点から家族を理解し支援することを目指す、「多世代家族療法」と「文脈療法」です。先ずはこの2つについて、概要とカギ概念を説明していきます。
授業の中盤で、家族の関係を図で表すジェノグラム(家族図)について学びました。これは、〇や□などの記号で個人を表し、その結びつきを線で描いた図です。見たことがある人もいるかもしれませんね。これによって、家族メンバー同士の関係や、家族の世代間のつながりを視覚化することができます。見てわかり易く支援に役立てることができるため、心理学以外にも福祉や医療など様々な分野で用いられてきました。
受講生からはジェノグラムについて、「目に見える形なのでわかり易いと思います」「ジェノグラムの記号が多くて複雑だと思いました」等様々な意見が寄せられました。
授業の終盤では、架空事例について考えました。家族面接での、セラピストとご父母とのやり取りの場面について、まず個人で感想をまとめ、それを基に周囲の学生同士で話し合いをしました。その後、何人かの方にインタビューして聞いてみました。新しい発見もあり、私もとても勉強になります。
感想を少しご紹介すると、
「子どもの問題の背後に、両親の関係が影響していることが分かったが、面接でのやりとりを通じて、両親もそうせざるを得なかった事情が明らかになり、心情を労われているところが印象的でした。安易な犯人探しをしない、という家族療法の考え方が洗われていると思いました」
「家族全員が一人の個人であり、その行動にはそれぞれ何か理由があるのだと思いました」
等がありました。
家族が抱える可能性のある困りごとについて、だれか一人の責任という見方から離れて、家族全員で協力して対応できるよう促す家族療法の利点が、伝わったように思いました。そのための視点の一つとして、家族メンバー一人一人や家族全体の歴史を丁寧に紐解いていくことが重要だということを共有して、授業を終えました。
