発達心理学Ⅰのある日の授業風景
発達心理学Ⅰでは、受講生自身が自分の過去・現在・未来と照らし合わせながら学習し、生涯にわたる心理的な発達過程を、自分事として実感を持って捉えられるようになることを目標としています。そのため、授業では、受講生が具体的なイメージを持って自分自身と学習内容とを関連付けられるような工夫をしています。
この日のテーマは「アタッチメント」。アタッチメントは、日本語で「愛着」と訳されることもあります。SNSで「アタッチメントスタイル」や「愛着障害」が取り上げられるようになり、なんとなく知ってはいるけれど、いざその定義をきちんと説明しようとすると、意外と難しい言葉ですね。アタッチメントの詳しい説明は、塩崎尚美先生がご執筆された心理学科のコラムにもあるのでぜひご覧ください!
まずは、「アタッチメント」という言葉を直感的にどのように捉えているのかを受講生同士で話し合います。それぞれのなんとなくの理解を共有した後に学術的な定義を解説し、そこから歴史的背景や文化差、アタッチメント理論に基づく発達の道筋、大人になったときの連続性、アタッチメントと関連する概念の解説、と授業を展開していきます。
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言葉だけでなく、できるだけ実際の赤ちゃんや子どもの動画を見ることで、視覚的にも理解を深められるようにしています。
最後に、「たかがアタッチメント、されどアタッチメント」(遠藤, 2021)ということばの意味を解説して、この日の授業は終了しました。授業後の感想をいくつかご紹介します。
- アタッチメントについて、愛情で結ばれた、安心して充電できる場所というイメージがあったため、情緒状態の崩れを制御するためのシステムであり、生存戦略でもあるという生物学的な捉え方は、とても新鮮だった。
- 今までは、愛着や愛着障害、愛着行動という言葉だけを知っていて、その意味についてはよく理解していなかったので、学ぶことができてよかった。
- アタッチメントは、成長後の友人関係や信頼関係にもつながると知り、人の心の土台としてとても大切だと感じた。今回の学びを通して、安心できる存在との関わりの重要性を理解できた。
- トランザクショナルモデルという言葉も、レジリエンスという言葉も、発達心理学とは別の文脈で聞いたことがあったが、『アタッチメント』と同様に、言葉だけが独り歩きしてしまっているのではないかと感じた。それぞれの言葉の意味と本質をしっかりと理解した上で、判断し、使っていきたいと改めて思った。
参考図書
- 遠藤利彦他「入門 アタッチメント理論---臨床・実践への架け橋」日本評論社
- 坂上裕子他「問いからはじめる 発達心理学〔改訂版〕: 生涯にわたる育ちの科学 」有斐閣
