学習・言語心理学I ある日の授業風景 

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学習心理学(学習・言語心理学I)の授業を覗いてみましょう!

学習心理学」という分野をご存知でしょうか?

学習心理学では、「経験によって生じる比較的永続的な行動の変化」として学習を定義しています(中島, 2019)。生物がどのように環境に適応する上で、新しい行動を獲得し、修正していくのかなど、行動の基本原理を探る学問分野です。学習心理学に詳しくなくても、行動には何らかの原因があると考える方は多いのではないでしょうか?

今日の授業では、オペラント条件づけにおける強化スケジュールについて学びました(※)。強化スケジュールとは、特定の行動に対して強化(報酬や罰)がどのように与えられるのかを決定するパターンや規則のことです。私たちが何か行動を起こしたときにも、良い(または悪い)結果が起こるかどうか、それがどのように起こるかにより、行動の頻度や持続性が変わることがあります。

 行動が毎回強化される場合を「連続強化スケジュール」、時々しか強化されない場合を「部分強化スケジュール」と呼びます。「部分強化スケジュール」にはいくつかの種類がありますが、その中の1つ、「変動比率スケジュール」について考えてみましょう。たとえば、釣りを思い浮かべてみてください。釣り糸を垂らして魚がかかる(強化)まで、何回挑戦すればよいのかは予測することはできませんが、魚が釣れるという結果がランダムに起こるからこそ、釣り人は努力し続ける動機づけを持つことができます。私たちの行動が長期間にわたり維持される仕組みについても、同じように考えることができるのではないでしょうか?さまざまな強化スケジュールの特徴を学べば、行動を客観的に分析し、変えることができます。

授業の感想より:

  • プロ野球の応援しているチームが現在は負けてばかりでも、たまに勝ったときの嬉しさが忘れられず、応援や球場に足を運ぶ理由がわかりました。
  • 厳しい先生がたまに褒めてくれたり、いつも静かな子が大きな声で笑ったりするのを見て嬉しくなるは、部分強化が関わっているのだと感じました。
  • 10000回だめで望みなくなっても10001回目は来る」というDreams Come Trueの歌詞を思い出しました。

行動はいつでも変えられる…学習心理学はそんな未来志向の学問なのです(歴史は古いですが)!!

※オペラント条件づけは、古典的条件づけと並んで学習の基本的な型の1つです。古典的条件づけやオペラント条件づけについては、日本心理学会の公開講座のウェブサイトをご参照ください(永石, 2024)。

 

引用文献

永石高敏 (2024学習心理学って知っていますか? 日本心理学会心理学ワールド, 105, 28-29. 誌上公開講座

中島定彦 (2019) 学習と言語の心理学.昭和堂.