感情・人格心理学Ⅰ ある日の授業風景
「感情・人格心理学」は公認心理師資格対応科目の一つです。日本女子大学心理学科ではこの科目をⅠとⅡに分けており、Ⅰの方では「感情・人格心理学」のうちの前半、つまり「感情」について講義をしています。
心の問題は「感情」と密接に結びついています。例えば、心の調子がおもわしくない時には、その状態が自分の感情に現れることが多いでしょう。感情を理解することは、人の心を理解する上での重要なテーマなのです。そのために、感情の仕組みを問う問題は、公認心理師資格試験や臨床心理士資格試験のみならず、公務員試験(心理職)においてもよく出されます。この授業では、そうした試験問題への対策も踏まえて講義が組み立てられています。
この日の授業では、感情に関する2つの有力なモデルを比較・検討しました。下図の左側では、各感情は脳や身体の反応により個別に表現されている、つまり感情は離散的であるとするモデルです。私たちが感情について持っている直感にも合致しています。その一方で、脳や身体で途切れることなく生じている反応が、状況に応じて認知的に評価され、感情の表出につながるという考え方もあります(下図の右側)。こちらは感情を連続的に捉えるのですね。このモデルは必ずしも直感的ではないのですが、実はこちらの方がいろいろな実験データをよく説明できると考える研究者が増えています。