心理学的支援法Ⅰ ある日の授業風景
「心理学的支援法Ⅰ」のこの日のテーマは、「プレイセラピー」でした。
カウンセリングや心理療法には、「ことば」を介するものが多いですが、子どもを対象とした心理学的支援を行う場合、必ずしも「ことば」が有効な手段になるとは限りません。
プレイセラピーでは、主に「あそび」を通して、子どもの自己探求や自己表現を大切にした関わりを行い、子ども自身が成長や発達に向かうプロセスを支えていきます。
(なお「プレイ(play)」という言葉には単なる「あそび」以上の意味があります。「たわむれる」、「そよぐ」、「噴出する」、「競技を行なう」、「演奏する」、「演じる」、「再生する」・・・などいろいろな意味があることにも注意が必要です。)
授業の中では、受講生に
Q. あなたがまだ小さな子どもだとして、遊んでいるとき・・・
①やっと「うまくできた!」というとき、
②うまくいかなくて、泣きそうなとき どんな風に応じてほしいですか。
といった問いをなげかけてみました。
受講生にマイクを回したところ、
「うまくいったら盛大にほめてほしい!」
「上手だよ、すごいねって言ってほしい」
「うまくいかないときは、大丈夫だよ、って安心させてほしい」
「よくがんばったねっていってほしい」
「次どうしたらいいかな、って一緒に考えてほしい」
など、さまざまな意見が出てきます。
どれも実感がこもっていてよい感じです。
こうやって受講生みんなで「あそび」に夢中になっていたころの「子ども」の気持ちを思い出しつつ、
その子どもの目線から、そばにいる誰か(支援者)をふりかえってみます。
子どもにとって、どんな関わりが、どんなふうに心に響くのか、探っていきます。
そうした自分の「体験」とのつながりを実感したうえで、プレイセラピーの「8つの原則」を紹介したり、プレイセラピーの臨床事例を紹介したりして、少しずつ理解を深めていきます。単に理論や理屈だけを学ぶよりは、自分の体感や実感とつながるほうが、学びは深まるはず・・・・と講義する側としては思っています。
また、この講義では、学生にマイクを回して意見を求めます。みなさんなかなか緊張しながらも、その人らしい素直な意見を、自分の言葉で話してくれます。受講生からも「他の人の意見が聞けると、視野がひろがっていい」という感想が毎年寄せられます。
正解や不正解はないので、遊び心を持って、授業を楽しんでもらえるとうれしいです。