公認心理師の職責 ある日の授業風景

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「公認心理師の職責」という科目は、心理学科の他の科目とは少し趣旨が異なります。科目名のとおり、公認心理師という「国家資格」を意識した科目であり、「養成訓練」としての色合いも強いです(レポートが、半期で5つ~6つあります!)。 

 

とはいえ、受講生は2年生が中心ですので、「公認心理師」がどういう仕事をする人なのか、少しでも鮮明にイメージしてもらうのが目的です。 

   

「心理職になりたい」と心に決めている学生ばかりではなく、「どうしようかな」「自分に向いているのか」など、迷って考えている人も多くいます。この科目はそうした人のためのものでもあります。 

 

ゲスト講師の先生(病院の心理師、企業のカウンセラー、家庭裁判所の調査官の先生など)にお話しいただいたり、事例を読んで「自分ならどうする?」と考えたりすることで、少しでもリアルな心理師像を持ってもらうことを目指します。 

 

 
 

 

この日のテーマは、「福祉領域における公認心理師の業務や役割」でした。 

福祉の対象には、子ども、障がい者、高齢者などが含まれますが、今回は「児童虐待と児童養護」について、焦点を当てた回です。 

福祉領域にはどういう施設・機関があるのか、どういう法律と関連が深いのか、なども少しずつ学んでいきます。 

 

そして講義の最後には、虐待を受けたのちに児童養護施設に入所した子どもの事例の「報告書」を読み、グループワークを通して考えて行きます。全14回の講義でふれる事例の中でも、もっとも過酷で、子どもの傷つきや痛み、支援する側の迷いや不全感もひしひしと伝わってくる内容です。(講義をする側も、この回はすこし緊張します。) 

 

受講生は、この事例を、それぞれ自分なりに受け止めようとしつつ、同時に不安や動揺を感じてもいるようです。ただ、そうした自分の動揺や迷いを認め、それを同級生らと正直に分かち合うことで、心が落ち着きを取り戻していく、ということも起きているように見えます。グループの支えを得る中で、難しい事例に対して、より素直に向き合えるようになっていく、というプロセスを体験しているのかもしれません。 

 

日本女子大学の心理学科ではいろいろなグループワークをします。自分の意見を積極的に発信するのも大切なことですが、こうやってグループから「支えを受ける力」も、グループ体験を通して身につけていっているような気がします。 

公認心理師の業務も、「チーム支援」や「多職種連携」が重要だと言われていますが、こうした「みんなでやった」という素朴なグループ体験が、実践的なチーム活動や連携の力の基礎になってくれれば・・・・と願うところです。