【シンポ報告】「感情とうまく付き合うために」(主催:日本心理学会・共催:日本女子大学心理学科)
日本心理学会(主催)と日本女子大学・心理学科(共催)による
一般向け公開シンポジウム
『感情とうまく付き合うために~無理なく自分を大切にする3つのアプローチ~』
が2026年9月19日(土)14:00-16:00に、
日本女子大学 目白キャンパス 百二十年館 12001教室にて、開催されました。
当初の予定は120名の定員でしたが、早々に満員となり、
定員を150名に増員してもキャンセル待ちが出るほどの盛況ぶりでした。
![]()
3人の話題提供者は、それぞれ「感情」をめぐる臨床心理学的な支援や心理療法に携わっている先生方です。
それぞれの専門性から話題提供をしてくださいました。
東京経済大学の寺島瞳先生は、感情の調整に困難のある方へのトレーニングプログラムであるSTEPPS(感情予測と問題解決のためのシステムズトレーニング)を日本に積極的に導入されています。
今回のお話はその一部のみですが、
・感情の「嵐」に気づくことの重要さ
・感情が「嵐」のように増大するしくみ
・様々なスキルの中でも最初に取り組む『感情から「距離をとる」スキル』のポイント
などについて、紹介されていました。
特に「距離をとる」ことに必要な「気づく⇒止まる⇒眺める⇒避難する」という4ステップを紹介され、
この一週間の感情を振り返るワークシートや、実際に体の姿勢を変えてみるエクササイズなど、
実生活で試してみたくなる学びが得られる時間でした。
STEPPSの詳細⇒ こちらから
![]()
立命館大学の野田亜由美先生は、感情が持っている適応的で自己実現的な役割を大切にしたアプローチである感情焦点化療法(Emotion Focused Therapy)を専門とし、実践と研究をされています。
今回の話題提供では、
・どうして私たちには感情というものが備わっているのか?
・どうして感情はこじれてしまうのか?
・どのようなカウンセリングが感情の適応的で治癒的な力を引き出すのか
についてお話しくださいました。
感情は私たちを邪魔するものではなく、
私たちを導いてくれる「ナビゲーションシステム」なのだ、というお言葉が印象的でした。
感情というものに対する理解と信頼が伝わるお話でした。
感情焦点化療法の詳細⇒ iEFT:こちらから
![]()
筑波大学の浅野憲一先生は、恥や自己批判の強いクライエントに向けて開発されたコンパッション・フォーカスト・セラピー(Compassion Focused Therapy)を専門として、実践と研究をなさっています。
・様々な感情や葛藤をもたらす「3つのシステム(脅威・獲得・安心)」
・脳の厄介さや人生の困難さ
・人に備わっているコンパッション(思いやり・慈悲とも)という心の働き
などについてお話しされました。
「共感を持ったメンバーが多い種が最も栄え、繁栄していく」というダーウィンの言葉を引用されながら、
“コンパッション”が特別なものではなく、私たち人間という種が持つ自然で大切な心の働きであることが伝わるお話でした。
コンパッションフォーカストセラピー(CFT)の詳細:⇒ こちらから
![]()
感情は、私たちにとって付き合いにくい、とても厄介なものです。
しかし、感情は「私たちの存在そのもの」と言われるほど、生活の中心にあるもの、でもあります。
感情について考えることは、
「人間の心は、ままならない」というリアリティに向き合うような作業であり、
同時に、人の心には、予想しえない変化や成長をもたらす力がある、と思い知るような作業でもある、と感じられました。
このシンポジウムが、参加したみなさんにとって、自分の感情との付き合い方を豊かにするものになっていれば幸いです。
