1995年度 心理学科卒業 愛知淑徳大学 心理学部 教授久保(川合)南海子 さん
1995年度 日本女子大学 心理学科卒
1997年度 日本女子大学 心理学専攻 博士課程前期修了
2000年度 日本女子大学 心理学専攻 博士課程後期修了
博士(心理学)
心理学に興味を持ったきっかけはなんですか?
小さい頃から小説やマンガを読むのがとても好きでした。大学進学を考えた時に、本が好きなんだから文学部なのかなと漠然と思っていましたが、よく考えてみると自分は、物語に描かれている人間の気持ちや行動にすごく興味があるんだ! ということに気がつきました。
そこでいろいろ調べていくうちに、気持ちや行動を考える学問として「心理学」というものがあることを知りました。高校までの科目にはなかった分野なので、大学で専門的に学んでみたいと思い、心理学科を進学先に決めました。
お仕事の内容、やりがいを教えてください!
私はいま、愛知県の私立大学で心理学を教えています。専門は、実験心理学・発達心理学・認知科学です。担当している講義のひとつに、高齢者の心と行動について学ぶ「老年心理学」があります。現代社会と密接に関わっている高齢者の問題について、これからの社会を担っていく学生たちにいろいろ考えてもらう機会となっていることに、やりがいを感じています。
また、卒業研究にかかわるゼミでは、その人が本当に好きなこと、気になっていること、不思議に感じていることをテーマに、心理学の研究としてどのように進めていけばいいのか、一緒に試行錯誤しています。ゼミ生が「この研究ができておもしろかった」「自分だからこそできた研究になった」と喜んで卒業していくことが、何よりのやりがいです。
現在のご職業に就職された理由はなんですか?
大学院博士課程後期まで進んでしまうと、もう職業の選択肢はほとんどありませんでした。研究者として、研究職につくか大学教員になるかです。しかしそれもとても数が少なく、選べるというよりはチャンスがきたらとにかく挑戦する、くらいのものでした。私はどちらかといえば、大学教員になりたいと思っていました。大学院生の時から非常勤講師として大学で授業を持つ機会があり、学生さんと学びの場にいることが楽しかったからです。
最初の就職先は国立大学の研究センターで、授業などは担当しない研究職でした。まずは就職できただけでありがたかったのですが、その後に私立大学教員に異動するチャンスが来た時は迷わず手を上げました。そのころは子どもが生まれたところだったので、自分と家族のワークライフバランスからもちょうどよい選択だったと思います。
在学中、好きだった授業はなんですか?
高校までの授業にはない、初めて学ぶことばかりだったので、どれも本当におもしろいと思っていました。なかでも、実験実習は苦労も多かったけれど、頭だけでなく手足を動かして、仲間とも協力して進めていくところがとても楽しかったです。
いま私の専門は基礎系の心理学ですが、学生時代には興味の向くままに、臨床系の授業や演習をたくさん履修していました。大学院に進むと専門性が強くなって、それらの分野にはまったく縁がなくなってしまうのですが、大学教員になったいま、学生時代の臨床分野の勉強が役立つこともあります。あのとき自分の関心に沿って、いろいろ学んでおいてよかったなと実感しています。
在学中、特に力を入れたことはなんですか?
勉学…といいたいところですが、学生生活といえば、心理学科の「ネズミ当番」と文化祭の「ラットレース」です!
「ネズミ当番」はいまは「ラットスタッフ」というのですね(ちょっとオシャレになってる…)。内容はいまも同じなのでしょうか、実験実習のために飼育されていた行動観察用のネズミを世話する、学科内のサークルのようなものでした。クリスマスもお正月も餌やりと床がえのために仲間と愚痴りながら登校したり、夏休みになりゆきでネズミ部屋に泊まり込むことになったり、先生たちも一緒にネズミコンパをしたりしたのが楽しい思い出です。
「ラットレース」は学祭の時に、訓練したネズミをレースのように走らせる催しです。26年にもおよぶ歴史の末、目白移転とともにいまはもうなくなってしまったのですね。学科長だった岡野恒也先生の思いつきで、最初にはじめたのが私たちでした。長い準備期間も当日も、とにかく楽しかったです。入念な下準備をしてもふりかかる思いもかけないハプニング、人間の予想をはるかに裏切ってくるネズミたち、仲間とのトライ&エラーの繰り返しでようやくたどり着く正解、など…人生で大切なことは(わりと)ネズミから教わった、かんじです。
心理学科の後輩へメッセージをお願いします!
自分が生きていると起こるすべてのことが心理学の対象です。日々のいろいろなことに目を向けて、心理学を楽しんでください。卒業してからもずっと心理学はあなたのそばにあります。どうぞいまの学びを大切にしてください。
Feb, 2022
※内容はインタビュー当時のものです